【52P】

###子ども文庫助成事業 座談会

はんせいきにわたり民間の読書啓発活動を支援してきた子ども文庫助成事業。

その意義と今後の課題、事業のあるべき姿について、直近3代の歴代選考委員長にお集まりいただき、お話をうかがった。

2024年8月6日（火）

伊藤忠商事東京本社ビル22階レセプションホール

【写真】助成座談会出席メンバーの集合写真。左から、いしいさん、しおざきさん、しまさん

####在任時の印象的なできごと

池辺　2024年9月30日に財団が設立50周年を迎えるということで、設立の翌年に開始した主要事業である子ども文庫助成事業の選考委員長を務めていただいた3名の方々にお越しいただきました。皆様には、当事業のこれからについて率直なご意見を交わしていただければと思います。まず、ご在任の時期の順番に自己紹介をお願いします。

しおざき　しおざき順子です。在任中に東日本大震災が起きまして、助成の在り方もいろいろと考えさせられるところがありました。現在は慶應義塾大学の非常勤講師などをしていますが、もともと図書館員で退職後に大学院で図書館・情報学の博士号を取りました。子どもの本と児童サービスに関わることがライフワークと考えております。

島　しま弘です。私は10年ほど前まで東京都福生市の図書館に勤めておりまして、その後いくつかの大学で非常勤講師などもしておりましたが、現在は日本図書館協会の児童青少年委員会の委員長をしております。

石井　石井光恵です。2021年3月に日本女子大学を定年退職いたしまして、現在はフリーランスとして活動しています。最近は絵本専門士委員会（国立青少年教育振興機構）主催の絵本専門士養成講座の講師や、同委員会かの審査部会や課程認定部会などの委員、国立青少年教育振興機構の評議員も務めております。ブックスタートの赤ちゃん絵本選考委員（2024から2026年度）でもあります。その他、日本児童文学学会の評議員としての学会活動など、少しずつ仕事をしている状況です。

【53P】

池辺　それでは、まず選考委員ご在任時に印象的だった応募内容や、その間の助成プログラムの変遷などを中心にお話しいただければと思います。

しおざき　やはり印象的なのは、例年3月上旬に開催される贈呈式です。私はあまり他の贈呈式や授賞式に出たことはないのですが、おそらく子ども文庫助成の贈呈式は雰囲気が独特なのではないでしょうか。助成の、じゅりょうしゃ、や功労賞受賞者の方々のお話は格別で、私自身非常に感銘を受けた覚えがありますし、財団の役員の方々もそのように感じられていると伺ったことがあります。

　また、委員長になる前ですが、東日本大震災が起きた2011年3月のことはどうしても忘れられません。その年は3月4日が贈呈式で、その7日後に地震が発生しました。贈呈式に岩手県大槌町など被災地の、じゅりょうしゃ、が出席されていたこともあり、津波の映像を目にするたびに「東北の読書ボランティアの方々は大丈夫だろうか」と心配が絶えませんでした。全く状況が分からなくて「どうなっているんだろう」と。連絡も取れる状況ではありませんでした。

　そうした中で、最初に入ってきたのは全国の文庫からの情報でした。財団の贈呈式などで交流されていた文庫の方々が、被災地の名簿を見たり個人的な繋がりから調べたりして、状況を教えてくださったのです。九州の方から情報が回ってくることもありました。その時、草の根の活動というのは本当にこういうところで繋がってくるのだと強く感じました。これは一委員だった前半3年間の内のお話になりますが、6年間を振り返ると最も忘れられない出来事です。

【写真】2010年4月から2016年3月まで選考委員（2013年度以降は選考委員長）を務めたしおざき じゅんこさん。現在、児童図書館研究会副運営委員長や慶應義塾大学の非常勤講師など。

島　私の任期は、2020年しょとうに起こった新型コロナウイルス感染症のパンデミックの時期に当たります。都道府県間の移動制限に伴い、毎年行ってきた財団職員による応募者の活動場所への訪問ができなくなりました。あの期間は代わりにZOOMによる面談を実施しました。また、贈呈式も2カ年中止となり、2021年度（2022年3月）はオンラインで贈呈式の様子を配信しました。結果的には新しい技術を取り入れるきっかけとなった期間だったと思います。

　委員長就任時、実演団体の応募が多いなと感じました。2019年の選考時の私のメモに「大型絵本、パネルシアター、紙芝居、人形劇などを用いる実演団体からの応募が5割を超えた」とありました。ただ、この傾向はパンデミック後に変化します。コロナかで実演活動が縮小した影響だと思いますが、2020年度の実演団体からの応募数は41件（前年度66件）に縮小した一方で、子ども文庫からの応募数は42件（前年度28件）に増加しました。この時期の子ども文庫ですが、学校や図書館が閉まったため、本を貸し出せる場所として需要が高まった文庫や、三密を避けるため屋外で読み聞かせを行った文庫、ドライブスルー貸出という新しい活動方法を生み出した文庫などもありました。このことは、公共図書館ではなかなかできないような活動で個人ならではのアイデアを活かして実践したかたが多くいらっしゃった印象があります。

【54P】

　実演活動についてはしおざきさん、石井さんのお話もお聞きしたいのですが、在任時の選考委員会の中で、大型絵本や紙芝居でのお話会に特化した団体について議論になったことがあります。特に紙芝居については、それ自体は子どもにとって大事な媒体だと思いますが、「子どもの読書啓発」という視点で考えると疑問を感じるという意見も出ました。実演活動と一口に言っても、大がかりなものでは体育館を会場にしたペープサート、複数の楽器を加えた絵本コンサートなど応募者によって様々です。そうした中で我々選考委員は、一つひとつの活動を尊重しつつも、それがどのように読書に結び付くかということを軸に考えるべきだ、という話をしました。

　特別支援学校を助成の対象に加えたのも私の在任時のことです。既存の「病院・施設子ども読書活動費助成」の枠で特別支援学校本体からの応募も受付可能としました。初回の2021年度の助成校は9校でしたね。他にも、子ども文庫やお話会の対象が低年齢化しているという現状を受け、乳幼児図書セット（100冊）を加えたのもこの時期です。また、一定の規程の下であれば助成金30万円全額を子どもの本に関する研修会に利用できるようにしました。過去の、じゅりょうしゃ、などから、選書や語りの研修にも助成金を使用したいという声が上がり、いろいろな議論を経つつも、本を手渡す人のスキルアップは大事だろうということでプログラムを調整しました。

　贈呈式では40年、50年と文庫活動をされているかたが受賞されることもあり、その歴史の深さに感じ入りました。こうした活動は、子どものために地道に続けていくものなのだと思います。中でも印象に残っているのは、2021年度、てんやく絵本ふれあい文庫（大阪市）のいわたみつこさんが子ども文庫功労賞を受賞された時のことです。この時（2022年3月）の贈呈式はまだコロナかが落ち着いておらず、岩田さんもZOOMでの参加でしたが、視覚障害者のご自身が息子さんたちに絵本を読み聞かせるため、てんやく絵本（シールに点字を打って市販の絵本に貼り付けたもの）を自作したこと、それを自分だけではなく全国の視覚障害者とその家族も利用できるように文庫活動を始めたことをお話してくださいました。ふれあい文庫も今年で40周年を迎えるということで、ご自分が求めたものが運動となって広がり、それが財団の子ども文庫功労賞の対象として表彰されたというのはとても良い流れだったと思います。在任ちゅうとても印象的な贈呈式でした。

【写真】2016年4月から2022年3月まで、全期間選考委員長を務めたしま ひろしさん。現在、日本図書館協会児童青少年委員会委員長。

石井　今、島さんのお話を伺っていて、ご一緒した3年間を思い出しました。その時期に重ねた議論をもとに、私の委員長就任後、より応募者の希望に沿う形に変化したプログラムもあります。子ども文庫の変化については先ほど、しまさんもお話されましたが、家庭文庫や地域文庫に子どもたちを呼び込む従来の形ではなく、文庫主宰者が学校や幼稚園・保育園など子どもが集まる場所へ自ら足を運ぶ傾向が強くなっています。その流れもあって実演団体からの応募が増えているのではないでしょうか。学校、幼稚園・保育園も、読書ボランティアの存在には助けられていて、そうした中で実演活動を続けている方々が財団の助成を知って応募されているのだと思います。その分、文庫そのものの減少は続くのではないかという印象も受けました。かつては子ども文庫が次々に生まれ、子どもたちもそこに大勢集まりましたが、今は子どもが一カ所に集まりにくい時代になっているように感じます。

【55P】

　贈呈式については、私が委員に就任したのが2019年度のことなので新型コロナの影響でなかなか実際の式を見ることが叶わず、委員長に就任した2023年3月（2022年度）が初めての参加でした。この年も懇親会の未実施など縮小した部分はあったのですが、全国から集まった、じゅりょうしゃ・受賞者の前で選考経過報告をさせていただいた時、日本全国で子どもの読書を支えてくださっている大勢の方々の存在を目の当たりにして、この上なく感動しました。過去に参加されたかたから式の様子を伺ったことはあったのですが、聞くのと体験するのとでは、おお違いです。自分たちの活動が助成を受けるということで皆さん目を輝かせて参加されていて、その様子がとても感動的でした。こういう方々が日本全国で頑張っていらっしゃるから子どもの読書啓発は成り立っているのだと実感しましたし、そのことを財団が支えていることは本当に意義のあることだと思います。

　島さんのお話にもありましたが、子ども文庫やお話会の活動をより豊かに継承していくために、2020年度以降、研修費用に30万円全額利用できるプログラムを新設しました。これは当初、財団が指定する機関の研修会から計画しなければならないという条件つきだったのですが、私が選考委員長に就任したのちは応募団体の実績や活動形態、研修の計画性も見て、指定研修会以外を希望する応募内容であっても検討するようにしています。

　また、最近は子どもたちの集まる場所が多様化してきているように思います。例えば、子ども食堂や学習支援団体など、格差をなくすための活動をしている方々が「子どもたちのために、活動場所に児童書も置きたい」ということで応募してくださることが増えています。以前にもあったのでしょうが、今はより増えているのではないでしょうか。助成先の多様化という意味では、特別支援学校への助成開始もその一つですね。初年度の応募は9件でしたが、徐々に増えて今年度は30件近い応募を受けています。本来は国の仕事でもあるのですが、民間の財団からこうした動きを強化していくことには意義があると思っています。

　海外でもぶんこという名称を使ってくれていて、日本ルーツの子どもたちに日本語の本を読んでもらいたいということで、財団の助成に応募してくれます。海外で文庫活動を始めるかたの中には、ご自身の幼少期や子育ての時期に日本で文庫を体験したというかたもいらっしゃるでしょう。日本の文庫活動を世界に広げるという意味でも、人材育成は大切な仕事です。

　子どもの読書のための新たな活動場所を支えるには、財団の図書リストの見直しも課題ですね。既存の550冊には良い作品が揃っているのですが、内容はその都度見直していく必要があると思います。島さんがお話された乳幼児図書リストの追加もありましたし、現在、新刊を中心におすすめの児童書を紹介しようという動きも進んでいます。この辺りが、私が委員長に就任してからの印象的な出来事です。

【写真】2019年4月から2025年3月まで選考委員（2022年度以降は選考委員長）を務めたいしい みつえさん。現在、日本女子大学名誉教授、国立青少年教育振興機構評議員、ブックスタート選考委員など。

【56P】

####どのような本を子どもに手渡していきたいか

池辺　贈呈式は私自身も目頭が熱くなるような瞬間が多々あり、今後も続けていきたい場です。助成先についても時代・環境を見つつ調整しており、特別支援学校の追加はその一例です。ただ、石井さんもお話されたとおり、子ども文庫からの応募は50年前に比べると少ないのが現状です。少子化もありますし容易に対応できる課題ではないのですが、その辺りについてはしおざきさん、いかがですか。

しおざき　確かに子ども文庫は減っていますよね。かつては子育て中の母親を中心に自分の子どもの読書環境を少しでも充実させようと文庫活動が広まりましたが、今では公立図書館も増えましたし、何より子育て世代が多忙です。昔からの世話人の高齢化が進む中で若い世代の参加は減っています。一方で子育てが落ち着いたり定年退職を迎えたりしたかたが、ずっと夢だった文庫活動を始めるという事例も耳にするようになりました。私は、子ども文庫はなくならないと考えています。数は減っていますが、世話人層や活動場所、活動方法の在り方を変えつつ続いていくのだろう、と。ただ、文庫は本が核なので、本であれば何でもいいわけではなく、その質や価値をきちんと考えている活動を評価していく必要はあると思います。その点において財団の助成の精神も活かせるのではないでしょうか。

池辺　先ほどの実演団体と読書との関係にも繋がりますね。最終的に子どもたちを読書に導くために、財団は何ができるかという話です。

【写真】伊藤忠記念財団 常務理事・事務局長、いけべ まさかずの写真

しおざき　選考委員長退任後のことになりますが、150冊図書リストの作成に関わりました。退任間際に、既存の低・中・高学年セットへの応募が減っているとのことで、2000年以降に出版された児童書も加えた新たな図書リストを作りたいと財団から声がかかったのです。その時、今後の応募数の増減に関わらず、子どもたちにぜひとも勧めたいと思える本を財団のリストとして表に出し続けることに意義があると感じました。当時の事務局長もそのようなことを仰っていました。読書の捉え方についてはこれからも議論が続くでしょう。いろいろな考え方がある中で、財団が何を軸に助成を続けていくかが今後の課題なのかなと思います。子どもの支援の形はいろいろありますが、財団の助成については読書や本からぶれずに続いてほしいものです。

島　ずいぶん昔、図書館学の先生から「図書館は何をしてもいいけど、最後には本に結び付けるんだ」と言われました。一つひとつの実演の形を評価することは難しいので、活動する人たちの意識がどれだけほんに向いているかという点に目を向ける必要があると思います。

野尻　子どもの居場所や生活・教育のための活動など、応募団体によって子どもへのアプローチは様々です。皆さんの子どもを思う気持ちの強さは確かなのですが、現地訪問の際は活動の軸に子どもの本があるかどうかに注目しています。財団の当初の目的は「青少年の健全育成」ですが、長く活動を続ける以上はより詳細な軸をつくるべきだということで、設立時に増えつつあった子ども文庫に注目しました。いしいももこさんやたかはしけんじさんの助言を受けてのことです。こうした助成は貴重だという言葉もいただきますし、子ども時代の読書から育まれるものは必ずあるので、この50年の軸はぶらさずに進めていきたいです。

池辺　絵本から読み物への移行も難しくなってきていると耳にします。石井さんはどう思われますか。

石井　絵本への注目が高まる一方、児童文学への繋ぎは確かに課題です。財団の図書リストには良い読み物もたくさん選ばれているので、それらを何らかの形で子どもたちの手が届く所に置いてみるのも手段の一つです。100冊助成のように贈る本の内容がはっきりしている助成であれば、子どもの読書活動の経験が少ない団体も利用しやすいと思うのです。実際、過去に子ども食堂から応募があった際、100冊助成のほうがいいだろうということで購入費助成から移動していただいた例もあります。財団の図書リストについては、現在新刊を中心にした選書も進めていますね。こちらについても幼年文学をなるべく取り入れたいと考えています。

【57P】

野尻　2025年度から新たに選書した50冊を既存の550冊リストに加えます。初回は2019から2023年中に刊行された作品を紹介予定で、過去5年に刊行された児童書を紹介するリストとして毎年更新するつもりです。2026年度には2019年と2024年の刊行作品を入れ替えます。読み物、とりわけ幼年文学については特に悩みました。

【写真】伊藤忠記念財団 助成事業部職員、のじり かほの写真

島　幼年文学は、量的にも質的にも良作が限られているのが現状だと思います。でも、その時々の子どものために、あるものの中から選ばなければいけない。

石井　科学や伝記などのノンフィクションの分野だと、比較的良い本が出ていると思います。新しい50冊リストにも取り入れました。

しおざき　ノンフィクションには良いものが多いですね。絵本について、私も絵本専門士には初期の2年ほど関わっていました。絵本に注目が集まる傾向自体は良いと思うのですが、「子どもの本いこーる絵本」という捉え方には疑問があります。絵本はあくまで入口で、その後の文学への繋ぎにもっと力を入れなくてはならないと思います。公立図書館などもやり方を考えているとは思うのですが、すごく難しいですよね。

石井　そうですね。最近の印象ですが、物語の力が全体的に弱まっている気がして、何とかしなくてはと感じています。そのためにもノンフィクションに力を入れたらどうかと。歴史や科学の事象に物語を見出して、それを子どもたちに伝えようとしている作品には良いものが出てきています。あとは作家たちが育つ土壌も必要ですね。

しおざき　本当にそうですね。財団が出版文化にまで関わるのは難しいかもしれませんが、書き手が育たないことには子どもの本は質も量も上がりません。

島　欧米では毎年アストリッド・リンドグレーン記念文学賞や国際アンデルセン賞がありますし、日本でも日本児童文学者協会や日本ぶんげいか協会による賞があります。読み継がれた本も保ちつつ、新しい作家が時代に即した子どもを描いた作品を生み出す動きもありますね。

しおざき　新しい作品でなくとも、過去の作品の中にも今を生きる子どもたちの心に響く、本質的な力を持つ作品は絶対にあるはずです。新しい本と読み継がれてきた本をバランス良く手渡していけるとよいのですが。

石井　財団の既存の550冊リストに選ばれている作品は、しっかりとした物語を持つ作品ばかりだと思います。これを今後も軸にしていくわけですよね。

野尻　はい。既存の550冊リストを軸としつつ新刊50冊リストも毎年更新して、古典と新作双方から、財団が子どもに読んでもらいたい作品として紹介していくつもりです。古典の中にも重版未定になってしまう作品はあるので、その際の差し替え候補を用意しておきたいという意図もあります。

【58P】

石井　新しく選んだ本がゆくゆくは古典になるかもしれないですからね。

島　例えば、『エルマーのぼうけん』（ルース・スタイルス・ガネット作・わたなべしげお訳、福音館書店、1963年）のシリーズ3作は、日本国内だけで販売数が780万部と聞きます。児童書にはそういう、良作が長く読み継がれていく土壌があると思うのです。一方で世の中はどんどん変化してきていて、子どもにとって厳しい環境だと感じることもあります。子どもたちがつらい時の「逃げ、ばしょ」としての本もあってよいと思います。

池辺　そのためにも、物語性のある作品は子どもの読書にとっては非常に重要な要素なのでしょうね。

石井　やはりそうですね。子どもたちが大人になる中で、本の中の出来事は今後の生き方を考える上での参考になると思うんですよね。現実はすごく厳しいじゃないですか。そこを超えて子どもたちが希望を得られるような物語が生まれてほしい。「正義は必ず勝つ」と安心できるようなものが。そもそも正義とは何かと問われるかもしれませんが、子どもたちにとっての正義があると私は思っていて、それが語られる文学が生まれてほしいです。今、そういうことを大人がはっきりと示せなくなっていると感じるものですから。

しおざき　私は4年かけて事典（『子どもの読書を考える事典』あさくら書店、2023年）を作成した際、読書の定義について編集チームでかなり考えて、最終的には「人の物語を受け取って、自分の中に新たな物語を紡ぐ行為」ではないかという考えに行き着きました。ただ情報を得るためだけの行為ではないのです。物語の定義も様々でしょうが、ただただ、つらい状況ばかりを描くのではなく、子どもたちに前向きな内容のものを手渡す責任が大人にはあるはずです。財団の助成も、ただ、ほんを手渡して読んでもらうだけではなく、子どもに本を手渡す場にそうした精神の輪を広げられるようなものになれるといいのかなと思います。

####子どもに本を届ける人材の育成について

池辺　子どもに本を手渡す機会はいろいろとありますね。子ども文庫やお話会もその一例です。そうした場で活躍される方々に財団の考えを伝えて、その活動を後押しするためにできることは何かあるでしょうか。学校司書、公立図書館の図書館員の問題とも絡んでくるかと思いますが。

島　子ども文庫、児童館、学校図書館などやり方は様々ですが、まずはその場にいる大人が子どもの読書をどう捉えるかが大事だと思います。その考えが各自治体で策定されている子ども読書活動推進計画の内容にも反映されていくでしょう。そこで中心となるべきは公共図書館と学校図書館だと思うのです。しかし、そうした公的機関では専門職としての図書館司書の採用数が非常に限られているのが現状です。市役所の一般職として採用されて図書館に限らず各課を転々とするケースも多い。私の場合、ベースは図書館でしたが38年間の勤務のうち8年ほど市役所の仕事もしました。

しおざき　私も行政職採用の図書館員として10年働きましたが、住民税の係に異動になったことをきっかけに辞めた経緯があります。図書館法では公共図書館への専任の司書の、ひっちが定められていないなど、根拠となる法律に職員を守るための仕組みが欠けているという問題もありますね。

島　1997年に総務省が「人材育成・確保基本方針策定指針」という各自治体の人事制度に対する指針を出しているのですが、その根幹に何でもできる一般職が大事だという考え方があるのです。ただ、この方針には変化の兆しが見られます。2023年12月に更新された新しい策定方針では、各自治体がDXや大規模災害、子育て支援等を充実させていくための専門職が不足しているという話が上がっています。今後の動きに注目したいですね。

　学校図書館の学校司書についても、学校図書館法が改正されて職名が法律上に明記されたものの、1人の司書が2、3校を掛け持ちしている。しかも非正規かつ低賃金だという場合が非常に多い。1990年以降の派遣法で非正規の職員も非常に増えましたね。今は会計年度任用職員という言い方もしますが、非正規の図書館司書の雇用状況については問題になっています。読書ボランティアについては、読書推進運動協議会が数年ごとに実施している「全国読書グループ調査」からも分かることですが、全国各地で実に様々な活動を行っています。子どもの読書啓発活動を進める上で、ボランティアはもはや欠かせない大事な存在なのです。その一方で、その活動が本当に子どものためになっているか、ボランティアたちの自己満足に終わっていないかという指摘もあるので、その点も考える必要があると思います。

【59P】

しおざき　財団の場合は、公的機関の人材育成にどこまで関われるかという問題もありますね。施設そのものへの助成は原則行っていないわけですから。ただ、公共図書館も学校もボランティアの力なしにはやっていけないのが現状です。児童サービスの経験がない公共図書館の図書館員にとってボランティアの方々は頼りになる存在ですし、学校でも朝の読み聞かせなどボランティアが積極的に関わってくれています。官民双方が子どもの読書を支えているのが現状ですが、官がもっと強くなるべきという思いはありますね。財団が民間の草の根の活動に支援を続けることで、ゆくゆくは公的機関にも良い影響を与えられるのではないでしょうか。これまでも文庫の活動から公共図書館の設置運動が発展した例はありますし。石井さんはどのようにお考えですか。

石井　私も民間ボランティアの質の向上をサポートすることこそが財団ができる重要な取り組みだと思います。自分たちの力を高めたい一心で助成に応募してくださる方々はたくさんいるので、そこに対しても支援を続けてほしい。やっぱり人だと思うのです。「この本は面白いよ」と言って手渡せる周囲の人間の存在が子どもの読書環境を左右します。学校図書館も決まった人が配置されることで活性化が進んで、ボランティアもより効果的に動けるようになる。非正規で複数校掛け持ちという状況は厳しいですが、学校司書が、いちにちでもいるかいないかの違いは大きいと私は思います。学校司書が配置されることの意義の理解が進んでほしいと思いますが、具体的にどうしたらよいものか。

【写真】助成座談会の様子。左から二瓶、野尻、石井さん、島さん、しおざきさん、池辺の順に半円になり、意見を交わしている。

　池辺　実際、文庫訪問であちこち見て回っていると、更に活発な活動に取り組まれるのではないかと思える団体もあります。そうした方々の可能性を引き出すことまでを財団ができたらいいのですが。

しおざき　財団側にも、今後の可能性を見極める力や活躍のための道筋をつくる力が求められますね。

野尻　そのためにも、2020年度から加えた指定研修会制度を役立てていきたいです。ただお金を出して本や備品を充実させるだけではなく、それぞれの活動場所で「子どもの本や物語についてもっと学びたい」という意志を持っていらっしゃる方々がより成長するための機会が必要です。この制度で指定している研修会は全こく規模かつ歴史あるものばかりなので、子どもの本について学びたいけど手段が分からないと感じている方々にとっても良いかと思います。参加した研修会で他の地域のボランティアと交流することが刺激になったという感想もいただきます。小さいことですが、これも財団の助成の役割のひとつですね。

【60P】

【写真】伊藤忠記念財団 助成事業部職員、にへい のりこの写真

しおざき　指定研修会には、私が副運営委員長を務めている児童図書館研究会の全国学習会もありますね。指定研修会制度が始まる前にも、全国学習会のための交通費が助成金の対象だった時期があります。

野尻　2002から2008年の時期ですね。今とは違う研修制度を実施していた時期です。

しおざき　全国各地に子どもの本のための勉強をしたい方々はいらっしゃるのだけど、例えば北海道から九州の研修会に参加する時の交通費は馬鹿にならない。ですから、助成金はとてもありがたかった。今年2月に広島県福山市で開催した学習会にも、指定研修会制度を利用されていたかたがいらっしゃいましたね。

野尻　皆さんしっかり活用してくださっています。

島　子どもの本について勉強したいとか、子どもについて知りたいというボランティアはかなり多いと思います。

野尻　多いです。その機会を積極的に提供することも財団がすべきことだと思っています。贈呈式もそのための場所になりますよね。

しおざき　そこで皆さん、名刺交換をしたりして全国各地の繋がりが生まれるんですよね。

野尻　タイミングによっては海外からの参加もあります。以前も、あいしーびーえー（国際児童文庫協会）名誉会長のオパール・ダンさんのような方がいらっしゃったこともあります。本当に世界各地で活躍されている方々と交流できるよい機会だと思うので、贈呈式は今後も続けたいです。

池辺　先ほど官民の関係性についても話題に上りましたが、我々の文庫訪問の際もその地域の教育委員会など行政の方が同席されることがあります。公共図書館や施設で活動されるボランティアの場合、行政が窓口になることもあるので関係が密接なわけですが、そうした時、我々はどちらに主体性があるのかを見極めなければならない。我々は民間への助成ということでやっているわけですから。

島　難しいです。以前から選考委員会でも話題になりますね。

池辺　本が入手しにくい過疎地域や離島などは特に支援を手厚くしなければと思いますが、そうしたところは環境的に官との関係が切り離せないんですよね。

しおざき　私が委員長の時もよく話題になりました。中には公民館図書室の蔵書など、本来は自治体がお金を出さなければならない内容での応募もあったりして。でも活動自体はボランティアの自主的な内容だったりするんですよね。判断が難しいです。

島　自治体側である公共図書館が厳しい状況だというのも事実なんですよね。現場の資料費がすごく落ちているんです。2001年に、いっかんあたり1,529万円だったのが、2021年には872万円に下がっています。一方で本の単価はどんどん上がっているので、実質的に購入できる数はより減っていますね。

【61P】

しおざき　電子書籍はまた別ものですよね。電子書籍の導入で紙の資料費が落ちているというのもあると思います。
雑誌も今はあまり買えなくて、雑誌スポンサー制などを取り入れる図書館も増えています。そこでどうにかしようと先ほど話に上がったような助成への応募に繋がるわけです。皆さん一生懸命なのは分かるけど、「公共」である以上は官の力で何とかするべきです。

二瓶　公共施設からの応募は毎年一定数あります。ボランティアからの応募でも、自分が活動する公民館の本が少ないので寄贈のために応募しましたという内容の場合もあります。でも、訪問やお電話で助成による図書を公共施設の蔵書にはできないことをしっかりお伝えすると、皆さん他の手段を考えられます。ボランティア管理の文庫を作ろうとしたり、貸出の方法に工夫を持たせたり。そういうふうに考えてもらえればそれは一つのやり方だと思うので、官と協力しつつ民間主体で読書支援をしていると捉えて助成の対象と考えています。

石井　財団職員が実際に訪問して現場を見てきてくれるので、選考委員会としても応募団体の実態がより分かりやすくて良いです。コロナかにズームも取り入れましたが、やはり現地訪問の効果は大きいですね。実際に本がどういうふうに並んでいるかも見てきてくださるし、対面でお話すると助成の意義がより伝わると思います。子どもに本を手渡す方々を育てるためには、人と人とが繋がることも必要です。財団の文庫助成はそのためにもいい働きになっているのではないでしょうか。

####伊藤忠記念財団の子ども文庫助成に今後望むこと

池辺　それでは最後に「伊藤忠記念財団の子ども文庫助成に今後望むこと」についてお話できればと思います。

石井　今、財団事務局は積極的な計画の下で充実した活動を行っていると思います。今後もその状態を維持するために、経済的な面でも人員的な面でも必要な財源をしっかり確保してほしいです。今、このような文化的な活動の予算は削減される傾向にあるとひしひしと感じるので。この財団の良さは、訪問を通して読書ボランティアと財団事務局が確実に結び付いている、現場を知っている強さにあると思います。大変な日程をやりくりして動かなければなりませんが、その努力があって選考委員も現場の状況を実感できているので、ぜひこれからも続けていただきたい。

　あとは、スタートアップ助成のようなことも少しずつ検討できるといいですよね。これから読書ボランティアを始めてみたいという方々への支援です。これまで財団ではある程度の実績と継続性が確認できる団体に助成を実施してきました。助成金を効果的に分配できるという点ではとても意味があることで、それもあって50年続けられてきたのだとも思うので、実績のある方々に助成するこれまでのやり方は継承しつつ、これから活動を始めようという方々にも年間数件ずつでも助成の間口を広げていくと未来に繋がるのではないかと思います。

池辺　新たな活動を支援していくような助成があってもいいのではないかと。

しおざき　活動を始めたいという気持ちを持った方々をどのように掘り起こすかも課題ですね。既に文庫活動をされているのではなくて、もし何かやりたいのであればこういう助成がありますよと案内するわけですから。どこにどう広報すべきかも考えなくてはならない。

【写真】座談会中の、しおざきさんの写真

島　文庫活動を始めたいという気持ちには潜在的なものもあるでしょうからね。文庫をやってみたいと思う人に注目してもらうためには、まずは本と場所だと思います。スタートアップ助成を始めるとしたらそこからではないでしょうか。

【62P】

池辺　なるほど。では、文庫の生まれ方として特徴的なことはありますか。

しおざき　やはり一利用者として文庫活動の手伝いをして、そこから自分もやりたいと思われるかたが多いですね。ある地域の中心的な子ども文庫から派生的にたくさん文庫が生まれた例もあります。

島　あとは、一度助成してから次に応募できるまでの期間に工夫を加えてもいいかもしれませんね。今は何年待たないといけないのですか。

野尻　3年です。

島　そうすると、本を中心に希望する団体は2年に短縮するとか、そういうメリハリをつけてもよいのかなと思いました。基本的にこの助成は子どもの本に重きを置いていると思うので、そのことを強調するためにです。

しおざき　財団が子ども文庫について紹介する講演会のようなことをやっても面白いかもしれません。文庫は私たちにとっては身近な存在ですが、世間一般的には知らないかたが多いですからね。助成の宣伝にも繋がると思います。60年前に文庫のことを知らない方々が石井桃子さんの『子どもの図書館』（岩波新書、1965年）の影響を受けて、あちこちで文庫を始めたということもありました。

野尻　そういうかたはたくさんいらっしゃいますね。今でも文庫訪問で『子どもの図書館』を読んで活動を始めました、というかたにお会いします。

しおざき　財団の助成があるなら始めてみようかなと、子ども文庫や助成について宣伝できる場をつくることはできないですかね。

池辺　財団は「読書バリアフリー研究会」を毎年5回ほど開催していますが、それに近いイメージですかね。全国各地の公共施設で、子ども文庫についてのセミナーを行うような。

しおざき　つまり子ども文庫をまだ知らない方々に知らせるためのセミナーですね。マルチメディアでいじーやわいわい文庫のさらなる周知にも繋がるのではないでしょうか。読書推進と聞けば関心のあるかたは多いと思います。

島　読書バリアフリー研究会の参加者はどのくらいいらっしゃいますか。

池辺　最近は40から50人から70から80人が会場に参加しています。

島　それはすごいですね。

池辺　現地参加はその時々の会場所在地の住民が、おもですが、コロナか以降取り入れたオンライン配信では全国からの参加があります。今年の7月に北海道で開催した時は、オンラインでも130人の参加がありました。オンラインは広範囲かつ参加も気軽なので、これから文庫について知りたい方々へのアプローチとして有効な気がします。

島　全国が対象になりますからね。

しおざき　あとは、文庫に通って育った有名人も結構いるので、彼らに登壇してもらっても面白いですね。

島　もしかするとマスコミも宣伝に協力してくれるかもしれないですよね。

池辺　可能であれば上手く取り入れていきたいですね。伊藤忠商事本体もエスディージーズに力を入れているので、一体となって広報できる可能性もあります。

しおざき　子どもこそエスディージーズですよ。

石井　本当にそうですね。

【写真】座談会中の石井さんの写真

島　持続可能な社会を維持し発展させるには子どもという未来に力を注がなくては。

【63P】

しおざき　やはり未来です。それも、ただ育てばいいのではなくて、より良い社会をつくってくれる子どもたちに未来を託していきたいわけで。

池辺　子どもに「読書をしている場合ではない」と言う人はあまりいない。

石井　いないけれど力も注いでいない、というのが現状ですね。

池辺　そうですね。読書がだめだという人はいないけど、その割に読書のための活動は少数派という印象です。

しおざき　私たちは「読書は大事」という考えありきで活動していますが、世の中ではそうではない人はたくさんいます。同じ家庭環境で育ちながら差が生じることもありますし。でも、やはり子ども時代にもっと本を読んでいたら自分の人生は変わっていたかもしれないと思う人もいる。短い子ども時代に読書の機会という人生の土壌をつくるものを提供することは必要なんですよね。

島　子どもの読書の研究を財団で支援するのはどうでしょう。

池辺　それは面白いですね。2005年に調査研究事業は休止しましたが、子どもの読書に特化して復活させるイメージですね。

島　そうですね。最近の研究は内容がどんどん読書から保育にシフトしている印象があります。保育も大事なんですけどね。

【写真】座談会ちゅうの島さんの写真

しおざき　幼稚園・保育園の読書は実態が見えにくいんですよね。学校だと学校図書館がありますが、幼保にはそうした施設はありません。子どもが初めて社会で本に出会えるところなのに、えんによって格差が激しいと強く感じています。

島　確かせでっぷ（発達保育実践政策学センター）の調査結果でも、えんによって差がすごくあるという話ですよね。絵本を持っている、えんと全然持っていない、えんがある。

しおざき　置いてある本の内容も様々ですよね。

島　卒園児からもらった本だけを並べている、えんもあります。

野尻　えんの場合、読書環境について上から何か改革しようとするとどこに切り込めばいいのかが分からないという課題があります。学校でいう学校図書館協議会のような存在がないんですよね。文庫訪問の流れで、えんを訪問する機会もありますが、予算に図書費が計上されているところは珍しいと聞きます。

しおざき　手渡し方も小学校・中学校と違う形になりますね。

石井　園児に本を手渡す人材の育成ですね。その点を教員養成で補強できるといいのですが。

島　保育士の養成課程の中で絵本をどう扱っているかという問題に行き当たるわけですね。

石井　絵本に詳しくない学生はたくさんいます。就職した後も、先生によって差は大きいと思います。

　絵本専門士委員会では学校の課程を通して認定絵本士という資格を取れる仕組みも用意しています。より高度な資格の絵本専門士は取れないのですが、認定絵本士を取って3年後の試験をパスすると絵本専門士になれます。絵本専門士の希望者は、70名の定員で1,200めい、くらいの応募が来るんです。

しおざき　そんなに多いですか。それだけ絵本に注目している人がいるということですね。

池辺　すごいですね。

石井　そこは高倍率でなかなか、はいれないわけですよ。なので、保育者養成課程の中に認定絵本士の制度を取り入れることで、絵本の知識を広げていこうとしているわけです。幼稚園・保育園での実践を意識したプログラムが多いですね。

島　カリキュラムの中に絵本の位置付けは入っているんですか。

【64P】

石井　一応入っていますが、専門に講義できる人はそういないと思います。学生に聞くと誰もが、「絵本、そんなものは知っているよ」と。けれど絵本の何を知っているのかというと、ほとんど何も知らないという感じです。私のいた大学は講座を持っているので興味を持った学生が入ってきますが、そうすると絵本はこんなに広くて深いのかということに気付いていきます。それでも学校によっては、本当に入口で終わってしまうところもあります。

野尻　子ども文庫助成にも保育園や幼稚園からたまに応募がありますが、保育園の母体にもよるんですけど、公共施設ということで対象外になっているところがほとんどです。たまに、えん文庫という形で保護者主体のところもあるけれど、一つの、えんに対象が限られているということで評価を抑える実情があって、幼稚園・保育園、こども園の図書充実まで私たちが踏み込めていないのが現状です。

石井　そこまでは難しいですよね。

島　対象の範囲をどうするかというのは助成の大きな課題でしょうね。

しおざき　本来は、えんの予算から整備しなければならない問題ですからね。

池辺　企業や営利事業への助成はもちろんしないし、公的機関で活動するボランティアの実態も見極める必要はあります。それでも、子どものために本を必要としている方々は各地に大勢いらっしゃるわけで、その方々を支援するのに我々が過去に設けた制約が足枷になりすぎていないかということは考えなければなりませんね。読書活動推進を実現するために、どこが一番適切な対象なのかという視点は持っておく必要があると思います。

野尻　子ども文庫や図書館となると既に本に関心のある親子が集まってきますが、えんや学校はそうとは限りません。だから絶対に本は充実させるべきなのですが、子ども文庫助成の対象となると学校は特別支援学校を除き対象がいですし、えんも基本的には同様です。地域に開けた活動を実現できているえんについては助成したこともありますが……。

しおざき　あとは、その施設にどんな人がいるかですね。ただ施設に助成するわけではなくて、どちらかというと子どもの読書のために活動している「人」に助成するので。

島　私も孫を保育園に通わせていますが、そこの、えんでは玄関に本を置いているだけなんですね。えんの中で読むことしかできない。一方で貸出をしている、えんもある。本を貸してくれる、えんと貸してくれない、えんの差は、もしかすると随分大きいのかもしれません。だから、えんにも助成するとしたら、そういう切り分け方もあるかもしれないですね。貸すということは人が介在しているし、なおかつ園児が家に持ち帰って、その絵本をおうちの人が読み聞かせしてくれる。

野尻　貸出をしている、えんであれば、対象の最低基準にはなりますね。

しおざき　先ほどの研究助成の話にも繋がりますが、幼稚園・保育園の読書環境や取り組む姿勢などについて調査してみるとか。

島　えんの読書環境は格差が大きい上に、駅前の2階にできたり、マンションの、いっしつにできたりと、どんどん増えていますからね。

池辺　えんの支援についても考えていかなければなりませんね。「伊藤忠記念財団の子ども文庫助成に今後望むこと」という意味では、だいたい今伺ったように経済面、人員面への期待があることや財団の活動自体に意義があると考えてよろしいでしょうか。

石井　そうだと思います。

しおざき　私は、子ども文庫助成は経済的に支援してもらえてありがたいということだけではなく、自分が続けてきた活動を評価してもらえるという意義もあると思っています。「あなたの活動はすごく意味のあることですよ」と社会的に認められる。だからこそ贈呈式で皆さんの顔が輝くわけですよ。自分たちのやったことが認められて、こんなに褒めてもらえるのよという。それは経済面だけではなくて精神面にもかなりの支援だと思います。贈呈式では同じ活動に取り組んでいる方々に会えて、自分が続けてきたことは間違いではなかったと皆さん実感して帰られる。それゆえ私たちも贈呈式で感動します。

【65P】

　こういう活動をしている財団はとても貴重だと思います。本の助成は他にもありますが、これだけ長く継続的かつ組織的にやっているものはない。読書バリアフリーにも力を入れて子どもの読書について多面的に考えている、評価に値する活動だと思います。

島　私もそう思います。この50年で助成件数はどのくらいになりますか。

野尻　2023年度までで累計2,808件です。

島　件数だけ見てもそれだけの数に助成を実施してきたわけです。今、しおざきさんが言われたように精神的な自信にも繋がったと思います。

石井　他財団のホームページを見ていると、じゅりょうしゃの例を紹介していて、今後応募したいとなった時にイメージが湧きやすいつくりになっています。財団でも過去の、じゅりょうしゃの活動を紹介する仕組みがあってもよいのではないかと思います。

二瓶　広報にはもっと力を入れる必要があると思っています。ホームページについても見やすさを更新していきたいという意思はあります。長く活動を続けているかたや助成金の使用例の紹介もしたいですね。今も、その過去5年の、じゅりょうしゃの活動状況をホームページに掲載しているのですが、階層が低くて検索しにくいんですよね。

野尻　じゅりょうから2年後に財団職員がフォローアップ訪問もしているので、その時に見聞きしたことをレポートにまとめてホームページなどで公開してもいいかもしれないですね。

しおざき　あとは、これまでそうそうたるメンバーが文庫功労賞を受賞しているわけでしょう。だから歴代の受賞者をホームページに掲載してもいいのでは。それを見て身近な方を功労賞に推薦しようと考える人も出てくると思います。

野尻　本当にそうですね。この方はまだ受賞されていないのか、ということも可視化されますし。財団として表に出せる情報を精査して広報に活かしたいです。

池辺　最後になりますが、伊藤忠記念財団が子ども文庫助成を50年続けてこられたのは、支えてくださった皆様のおかげです。対処すべき課題もありますので、柔軟に形を変えたりもしながら助成活動を続けていく必要があると思っています。

　これまでもその時々で、選考委員の皆様のおかげをもって効果的に助成を行うことができました。これからも皆様と協力し、急速に進むデジタル化という状況にも対応しつつ、しっかりと子どもたちに読書文化を継承していきたいと思います。本日はありがとうございました。

【写真】助成座談会出席メンバーと財団職員の集合写真。

左から、池辺、しおざきさん、島さん、石井さん、野尻、二瓶。

【66P】

【写真】2011年に閉館した東京小中学生センター1階の様子を示すコラージュ画像。自習室、プレイルーム、ワークルームの写真があり、中央にフロア図が配置されている。サイドには、財団のキャラクター『わいわいベア』のぬいぐるみが写っている。