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###伊藤忠記念財団の今後の展望　元職員インタビュー②　やべ たけし

1983年4月、東京小中学生センター（以下、センター）の職員として入職。2006年4月よりセンターの4代目館長を務める。センターの終了を受け、2010年4月に「電子図書普及事業」を立ち上げ、障害のある子どもたちの読書支援のため「わいわい文庫」（マルチメディアデイジー規格）の製作と普及を進める。2021年定年退職。現在、新宿区立とやま図書館館長

【写真】やべ たけしさんの写真。

####財団に就職した頃の思い出

　正式な入職は1983年ですが、学生の頃からボランティアでセンターに出入りしていたので、18歳から60歳までお世話になったことになります。私は小学校の先生を目指していましたが、大学よねんせいの時の教育実習があまりしっくりと来ず、一方でセンターの理念には感銘を受けていたので、そちらに就職したいと思うようになりました。初代伊藤昭彦館長の子どもたちとの関わり方が素晴らしかったんです。適切な課題を与えさえすれば、初めて出会った子どもたちでもこんなに団結するのかと感動しました。なので、採用が決まった時は大変嬉しかったです。

　働き始めた頃は、昭和の時代なのでもの凄い勢いで叱られる毎日でしたが、やりたいことができて楽しかった。本当に濃いキャラクターの小中学生たちと関わることができました。「教える」・「育てる」というよりは「一緒にやる」。仲間づくりを意識していましたね。当時の子どもたちは今も連絡を取り合っていたりするようです。

####電子図書普及事業の立ち上げ

　センターの館長に就任した時など、大変な時期も多々ありました。2009年頃にセンター閉館の話となり、新規事業の立ち上げについて検討した時のことも忘れられないです。センターに通ってくれていた子どもたちのためにも、長続きする事業にしなければ、と。具体的に何をするか考えるうちに、財団が設立当初から続けている読書推進に関連する事業にしようということになり、「弱視の子どもたちは紙の本での読書が難しい」という情報を得たこともあって、「障害のある子どものための読書支援」という事業のおおわくが定まりました。

　恥ずかしながらそれまで障害者の読書支援についての知識はなく、視覚障害以外にも弱視や肢体不自由、発達障害など、さまざまな理由で紙の本では読めない子どもたちがいるんだということを徐々に知っていきました。読書支援に力を入れている横浜市立盲特別支援学校に相談に伺い、読書工房のなりまつさんを紹介いただけたりもして。そのうちマルチメディアデイジー図書の情報も得て、よし、これでいってみようとなったわけです。作品を製作するために出版社回りもしました。著作権法第37条第3項のもと事業を進めているので出版社への断りは必要ないのですが、やはり大切な著作物を扱うわけなので。慣れないことだったので、資料を差し出す時は手が震えていましたね。

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####「わいわい文庫」の普及に向けて

　2011年3月に財団による初のマルチメディアデイジー図書が完成しました。でも、いざ出来上がってみるとよう改善の塊でした。たとえば、作品が流出しないようにコピーガードを固くしたのですが、「障害のある子どものための事業なのに、新たな障害を生み出してどうする」と言われたり。仰るとおりですね。あとは読み物がおおかったので、知的障害の子どもたちに適した絵本を増やしてほしいと感想をいただいたりもしました。2012年の第2回製作・寄贈からは、いただいたご意見を反映して、「わいわい文庫」という名前もつけました。

　それから毎年新しい作品を製作しつつ、必要な子どもたちに届けるために、バージョンブルー（障害の有無に関わらず閲覧可能な作品）や活用じゅつ、しょえいポスターの製作も始めました。2015年に始めた「日本昔話の旅」はその一例です。各地域の図書館にただ寄贈するのではなく、「一緒につくりませんか？」と呼びかけました。自分たちが関わったものには当然皆さん関心を示しますし、活用したくなりますから。「百人一首」の作品を製作した時は、任天堂、都内の高校5から6校、特別支援学校、音訳者、本当にたくさんの方々のご協力のもと、作品をつくりあげることができました。

　わいわい文庫の利用者の反応で印象ぶかいものもたくさんあります。普段ラジオなど他の音には反応しないのに、わいわい文庫の昔話の音訳には耳を傾けていた女の子。あるシリーズの1作目をわいわい文庫で読んで、続きが気になり時間をかけつつも紙の本を読み通した男の子。寄贈先の方々からは、わいわい文庫で子どもたちの読書意欲が増したという感想をよくいただきます。障害があると読書から縁遠いという思い込みもまだあるかもしれませんが、まったくそんなことはありません。財団には今後もわいわい文庫の製作と普及を通して、より多くの子どもたちに読書の機会を届けてほしいです。

####これからの子どもたちのために

　今、私は図書館で働いています。利用者の中には未就学じ、低学年とその保護者も多くいます。親子を対象としたイベントも多く実施していますが、昔に比べて大人の変化を感じています。遊びの経験が足りていないのかもしれません。センター時代の経験から工作会も実施していますが、保護者の手元が危なくヒヤリとすることや几帳面すぎる点を感じます。割箸鉄砲の銃身なんて長さが見本と違っても大丈夫なんです。その会に、たまたま来ていた高学年を誘ってみました。最初は集中して自分の銃を作っていましたが、やがて力を合わせて何秒で全部のまとを倒せるか、などリーダーシップを発揮し、あっというまに集団遊びに育てていました。い年齢同士の交流機会が減りつつある昨今でも、場所さえ設ければこういう姿をまだ見ることができるんだな、と印象に残っています。

　これからの子どもたちのために大切なことは、成長の機会を与えられる大人の育成だと思います。しっかりと経験を積んだ大人が子どもたちの周りにたくさん存在するべきです。良い人間関係の構築は生きる力に繋がります。財団としても、大人も子どもも成長できるような場所を提供できるといいですね。わいわい文庫の普及や子ども文庫助成の継続を通して、子どものため、子どもの読書のために必要な対応はどんなことか。子どもたちだけではなく、環境をつくるおとなたちを育てることも意識して、今後も検討と実践を積み重ねてください。

（2024年8月26日（月）インタビュー）

【写真】2018年12月、国立京都国際会館で開催されたエイタックカンファレンスにて、わいわい文庫の展示と事業説明をする矢部さんの写真。