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###伊藤忠記念財団の今後の展望　子どもたちの読書環境をよりよくするために　いけべ まさかず

伊藤忠商事株式会社に入社。繊維部門（現繊維カンパニー）、人事・総務部を経て、2022年4月より、伊藤忠記念財団に入職。2022年5月より伊藤忠記念財団の常務理事・事務局長に就任。ビジネスでの社会貢献に加え、読書推進活動は、未来を担う子どもたちのためにも必要不可欠との思いで活動

【写真】いけべ まさかずの写真

####財団活動のこれまでと現状

　当財団は、1974年の設立以降、「次世代を担う青少年の健全な育成」を掲げ、子どもの読書を支援する事業を軸として活動を行ってまいりました。50年もの間、活動を続けてこられたことに、深い感慨を覚えています。

　あらためて、これまで当財団の活動に関わっていただいたすべての方々に、感謝申し上げたいと思います。この50年の間、子どもの読書に情熱を注ぎ、子どもたちと触れ合ってきた家庭文庫や読み聞かせボランティアの方々、公共図書館や学校の先生がた、そして、子どもの読書に関わる専門家の先生がたと出会うことができました。これらの出会いを通じて得た多くの知見は、当財団の貴重な財産となりました。

　当財団は、「子ども文庫助成事業」と「電子図書普及事業」の二つの事業を柱として活動していますが、いずれの事業も、全国各地に財団職員が足を運び、読書支援に取り組まれている方々への訪問を通して現場の子どもたちの読書環境を知り、その改善のお役にたてるよう活動を行っています。この活動を通じて、子どもの読書は、子どもの五感に働きかけ、子どものもつさまざまな能力や可能性を引き出す力をもち、読書（本）を通じた、人と人との信頼関係の醸成にもつながるものであると確信しております。

　近年、急速に進むデジタル化社会において、子どもの読書環境にも変化が表れています。既に、電子書籍が広まりつつあり、多様な本に簡単にアクセスできる環境も整いつつあります。デジタル端末での読書機会は今後急速に増えていくものと思います。また、オンラインの読書セミナーや交流会も増えています。特にコロナかの影響でオンラインイベントが一般化し、多くの読書会や研修会に、地理的な制約を超えて、さまざまな場所にいる人が参加できるようになりました。デジタル化によって、あらたな読書スタイル、読書コミュニティが広がっていくことが予想されます。

　また、近年、法整備が進む「読書バリアフリー」の推進においては、当財団では、障害があるために通常の書籍では読むことが難しい子どもたちの読書環境の改善のため、2010年よりマルチメディアデイジー規格の電子図書「わいわい文庫」を製作、配布しています。これまでのCD､DVD等のメディアでの提供だけでなく、インターネットによるウェブ配信により、より多くの子どもたちに「わいわい文庫」を利用してもらえるよう、今後検討を重ねてまいりたいと思います。

####財団活動の今後

　これからの社会は、過去50年をはるかに上回るスピードで変化を遂げていくことが予想されます。デジタル化に加え、人口減少が進む社会では、多くの分野で、持続可能性の問題が明らかになっています。特に人材の確保、地域社会の維持は、大きな課題となっており、子どもの読書推進活動においても例外ではありません。

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　子どもの読書推進活動における人材不足は、子どもの読書環境にも影響を与えています。この状況に対応し、子どもの読書環境を維持し、向上させるためには、読書に関わる団体や個人が連携し、一体となって取り組むことが重要です。当財団は、人材育成の機会を他団体と協力して企画し、次世代の支援者を育成することを目指していきます。また、地域社会の中で読書活動を活性化させるため、地域社会との連携にも力を入れていきます。

　さらに、全国の公共図書館や学校と情報交換の場を設け、共通の課題を共有することで、子どもの読書推進活動をより効果的に進めることができると考えています。

　当財団は、全国各地で読書支援に取り組む方々を訪問し、子どもたちの読書環境を直接確認し、生の情報を収集することで、現場の実情を理解し、より適切な支援の実施に努めてまいりました。今後引き続き、現場の実情に応じた支援活動を行ってまいります。

　また、当財団の「子ども文庫助成事業」や「電子図書普及事業」が、十分に認知されていないという問題を踏まえ、今後はこれらの事業の周知活動を強化し、広く知っていただけるよう努めます。これらの取り組みを通じて、子どもたちの読書環境の改善を進めてまいります。

　子どもにとっての読書は、いつの時代でも価値のある活動です。これからも子どもたちに本を届け、読書環境を整え、その環境を継続的に改善していくことが、子どもの読書に関わる私たちおとなたちの責務であると思います。

　当財団は、今後も、子どもの読書に関わる多くの方々と交流し連携を深め、より良い読書環境の構築を目指してまいります。そして、子どもたちの未来を見据え、「すべての子どもたちに読書の喜びを」をテーマに、読書推進活動の支援を続けてまいります。

　これからも、子どもの読書推進活動に関わるすべての方々のご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

【写真】2024年3月、2023年度贈呈式の懇親会にてじゅりょう者と談笑する池辺。